「20歳で旅立った 渡辺幸一の思い出」

 著者 渡辺 義幸

 

 

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 人は悲しみに打ちひしがれた時どうしたら再起できるか。著者は最愛の息子幸一君を不慮の自宅火災で亡くした。一時は茫然自失、奥さんと涙するだけの日々だったという。半年ほど経った頃、残された僅かな思い出の写真や遺品を整理しながら、それらを一冊の本にまとめることを思い立ち、生きる一筋の明かりを見出した。
 結婚12年目60歳にして初めて授かった宝が、友人たちと成人式を祝った8日後に旅立った。前途洋々、大きな可能性を秘めた青年が生きた20年の証である。上陽町で生まれ育った幸一君は、多くの友人たちに恵まれ伸び伸びと育ち、高校では文芸部に所属し、大学では吹奏楽部に入部した。テナーサックスを担当、大学生活を謳歌していた。本にはサークルの演奏会の写真や高校文芸部時代の作品の一部も収録されている。
 この本を手にとってもらう人がいる限り、幸一はどこかで生き続けている。幸一と同年代の人たちが成長される姿を、息子に重ねて夢を持つことができると結ばれている。1月23日には3回忌を迎える。

 

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