暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

初丑・初午


初午祭りもあちこちに残っています。

「昔ャ 賑ヨッタノヤ。参ットン 楽シミジャッタガ・・・」

「今デンバノ。オ稲荷サンノ境内デ 昔ト イッチョン 変ワランゴツ 賑ヨルバノ」。


稲荷神社の初午とは?稲荷神社の祭神は狐ではなく、

文字どおり「稲生り」すなわち五穀主宰の倉稲魂命なのです。

大昔、伏見稲荷の鎮座の日の記念に、

ここで初午祭りをしたのが起源だと言われています。

たまたま稲荷神社で初午の祭りを催したので、

以来これが仕来たりとなって続いているそうです。


ふと顔をあげてビニール・ハウスの向こうに目を移すと、

田の神ならぬコンバインが轟音を響かせながら、

はすかいに靡いた麦の穂並みを巧みに刈り倒していきます。

「マイマイ」「サシサシ」と、

吹きさらしの晩秋の田ん中で牛や馬を追いながら田を鋤く頬かぶりの農夫の姿が、

これと二重写しになって見えます。

←前項  

八女方言歳時記へ戻る

 

 



ページの上段へ PAGE UP