暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

こんのう1


稲作の田植えや田の草取り・雁爪打ちのことにはすでに触れましたので、

秋の穫り入れ(こんのう)のことについて記しておきます。


「こんのう」は、晩春の麦ごんのうと晩秋の稲ごんのうと二回あります。

が、通常こんのうと言えば、稲の穫り入れを指します。


秋は、なり果物からすべての穀類までの収穫の季節です。

そう、文字どおり実りの秋で、

晩春の麦ごんのうのころを秋にちなんで麦秋とも言います。


農家が最も気を遣う台風もどうやら無事に乗り切れた旧十月初旬、

天気も据わってきます。

天高肥馬の候、燈火親しむべき候、

食欲の秋、読書の秋など、好季を形容する言葉は数多いです。

朝晩はめっきり冷えるが日中はまだ日ざしが強いのです。

いよいよ黄金の穂波が揺れこんのうの時期に入ります。


こんのうがはじまる直前に、坪刈りをします。

作柄の平均的な田圃の中央部を一坪刈り倒すのです。


「ミンナ ツンノーテイタテッサイ 田ン中ン真中ンニキバ 一坪刈ッ倒テナイヤ」

「ソーソー。刈ッタツァ 面々ニ 満石ショーケ

(農業に使う一斗ほどもはいる大きなしょうけ)ニ 手デスゲテ・・・」

「ウン。ソリバ 升トチキッデ計ッテ 升目デ何升何合 重サガ何百匁テロデナヤ」。

 

   

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