暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

亥の日・川渡り


十二支で方角や暦日・時刻を示すことは、まだ記憶にあります。

氏神様の拝殿の天井には、方角に合わせて十二支の絵馬が掲げてありました。

「草木も眠る丑満どき」と言えば、

幽霊がドロドローンと出てくる話の伏線であり、

とても恐ろしかったものです。

「大風ン時ャ 巽ン風が一番酷カ」などと言う話をよく耳にしたものです。

永い体験から帰納した話です。

なるほど、台風は中心の移動につれて風向きが変わります。

中心が西側を通過する場合、

風向きが巽(南東)に回ったときが猛烈を極めて、

これを過ぎると次第におだれて(勢いが衰えて)きます。

まあ、こう言った老人の話から、詳しいことは分からぬながらも、

十二支で方角や暦日・時刻を表わすことには耳が慣れていたものです。


陰暦では十干と十二支を組み合わせて日時を繰りましたが、

これについてもいろいろの迷信が生まれてきました。

五行でも火や水といったともすれば危険なものもあるし、

十二支でもいろいろな性格の動物があります。

これを組み合わせてみると丙午といった迷信も出てくるのです。

余談が長引いたので、亥の日の話に移ろうと思います。

 

   

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