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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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よど−何と懐かしい言葉なんでしょう。
夕食をあせがって(せきたてて)早目にすませます。
晴れ着をまとい、暮れなずむ薄明かりの中を母に手を引かれてよどに詣ります。
誰しも、子供のころの懐かしい思い出を持っているものです。
夜風がそよぎ、春宵一刻価千金、道路の両側や境内にずらりと並んだ献灯の炎がゆらぎます。
浴衣を羽織り、団扇を片手に仲間とそぞろ歩きのお宮詣りなのです。
誰しも胸のふくらむ思い出を持っています。
祭典の賑わいをよどと言います。
よど(夜渡)とは祭日の前夜にかがり火を焚いて神が渡る儀式のことで、
宵宮あるいは夜宮とも呼びます。
それが後には、
いつの間にか祭日の当夜の賑わいをよどと呼ぶようになってきたのです。
水天宮さん・八朔さん・祇園祭り・村祭りなども、
当日の賑わいを総じてよどと呼ぶようになってきています。
長くて厳しい寒さから開放され、軽装で夜の祭典を楽しむのは、
水天宮さんが皮切りになるのです。