暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

端午の節句


見渡す限りうっすらと浅緑の装いで、柿の若葉がひときわ映えています。

青葉の憂愁と言うのでしょうか、物憂くけだるいのです。

「春眠暁を覚えず」の好季、「寝がんえ」で惰眠をむさぼりたくなります。


ゴールデン・ウィークの末尾に

「こどもの日」として祝日になっている男児の祝い、

端午の節句がやってきます。

この日には、行事が多いです。

旧暦四月五日の水天宮や川祭りと、

同じく五月五日の端午の節句が新旧混交、

今では三つの行事が重なっています。


男児の成長を祝うこの節句を、

端午・重五・端陽の節句と言います。

あるいは飾り物や季節にちなんで、

幟節句・あやめの節句・菖蒲の節句とも呼ばれています。

「節旬モ ダンダン 今ン節句ニ 馴レッシモテ 初手ンコツァ忘レッシマヨルバイ」

「ソーソー。昔ャ フツト菖蒲バ軒先ニ 差ショーッタガナヤ・・・」。


家の表と裏口のげ(軒さき)に、

よもぎのしの(篠)と菖蒲の葉を二、三本束ねて三か所に並べて差すのです。

古来、よもぎと菖蒲は薬草とされ、

菖蒲の根を風呂に入れたりその葉を頭に巻きつけると、

病魔を除き痛みが去ると言われたものです。

菖蒲はまた「尚武」にも通じるのです。

 

   

八女方言歳時記へ戻る

 

次項→



ページの上段へ PAGE UP