暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

二十日正月など


餅は古来保存食でした。


農家では正月も間近な歳の暮れ、

一俵かそれ以上もの餅を終日かかって搗いたものです。


板の間いっぱい並べた搗きたての餅も、

歳の晩までにはあれ(餅とり粉)を落として

もろぶた(木製の蓋のある浅い木箱)に入れて積み上げます。


薄くはぎ、紐を通して保存するかき餅、

瓶に入れて水に漬ける水餅なども準備されました。


この餅も「朝焼き 昼食い 晩にまた」と三食餅ずくめで、

子供ぞろぞろでははかがいったものです。


しかもいくら寒のうちとはいえ、

永くなれば固い餅にも赤や青のかびが目だってきます。


正月の楽しみの余韻が尽きるころともなると、

その締めくくりとして二十日正月がやってきます。


「ソータイ。二十日正月チュートン アリヨッタナイ」

「餅ノ 食イ納メテロデ 残ンノ餅デ 雑煮ドン シテナヤ」

「アリャ 釜屋ニ ブラ下ゲトッタ 鮭ンイオテロン 鰤ノ中骨ドン テーテ 出ショラシタタイ」。

   

八女方言歳時記へ戻る

 

次項→



ページの上段へ PAGE UP