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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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ですが、一日だけならまだいいのです。
一枚の田くらいならどんなにきつくても知れたものです。
これが一町・二町にもなると、さすがにばてます。
二本鍬で打ち起こすなんて、とんでもありません。
このことから、農家では無理をしてでも馬を飼っていたのです。
主役の馬は、一〇人、二〇人分の仕事を引き受けていたことになるでしょう。
「田ン中バ鋤イタッチャ マーダ コリカラガ 畝作リ 土肥出シ 麦播キ ソリカラ 畝カラミデナイ・・・」
「ソーコタ。麦播キノ シマユット ホッカリショーッタナヤ」
「百姓ン仕事ァ アンマリ セータッチャ デケン。ヒヤリ ヤラニャ・・・」。
農家が一息つく旧二月、十一月の初丑・初午の祭りは、
神社の祭礼で農民の娯楽・安息の日のようになっていますが、
実は牛馬のねぎらいの祭りであったのです。
この日は、牛や馬に酒をふるまい餅や饅頭を供えて労をねぎらうのです。
牛馬こそ慰労される主なのです。骨折ってくれた者には、
牛馬にでも感謝をするという愛情の証でありましょう。
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