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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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天気が据わります。
もう久しう雨がありません。
頃あいを見て一軒の家が刈りはじめますと、
我後れじと一斉に小麦刈りに取りかかるのです。
「天気ン 持ツルケン ハカドンナヤ」と、挨拶が飛び交います。
思いもかけずに梅雨が早くきて、
雨風で倒れ伏すことも少なくありません。
「麦ノ熟ルル時分ニ長シケデ 倒レタママ 実カラ芽ノ出タリ
根ノ張ッタリシタコツモ アッタナヤ」
「ソージャッタ。アリャ 戦争中デ 一番食べ物ノ
足ラン時ジャッタタイ。刈ッテ見ット 根ノ張ッチータリ 芽ノ出タッデ
実ハ テンデカラッポジャン。ムゲメオータガ・・・」。
豊凶さまざまな思い出話が続くのです。
麦打ちは、麦ごんのでは山場です。
苦労しただけに話は微に入り細をうがつのです。