暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

初丑・初午


節分から立春といよいよ春の色が濃くなってきます。

旧では二月(きさらぎ)でも、新暦で繰ればもう二月の下旬から三月の初旬になります。

気を付けると、茶褐色の野面にいくらか青味がさし、地面も潤いを持ってきます。

和む日もあれば春一番で終日荒れる日もあります。

百性わら(集落)ではそろそろ農耕の準備にとりかかるときです。


十二支の中でも牛や馬は、とくに農耕で馴染みが深いのです。

主役でもあります。

そろそろ忙しくなる早春、まずこの牛や馬の祭りをしてこれをねぎらうのです。

旧二月はじめの初丑と、その六日後には初午がやってきます。

牛は冬の間山の中に姿を隠して過ごし、

春先になるとまた里に下りてくるという言い伝えがあります。

山から来て山に帰る牛に、慰労や感謝の祭りをするのです。

田植えのはじめに天から降りてくる田の神に「さおり」の祭りをし、

田植えがすんで天に昇っていくときに「さのぼり」(田植の終了の祝い)をして

感謝の祭りをするのと、同じ発想です。

   

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