暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

長寿の祝い


「トコロデ 幾ツィ ナラッシャルカノ?」

「五バイ」

「ヘ−。ソンナ 三十三年生マレジャロ?」

「アイアイ。○○サン達ト 同ジ連レタイ。バッテ モ−イカン。

ドゲン低カ所デン トトマヂ−テ ヨ−転ブ」

「誰デン 同ジコツバノ。足カラ 弱ナル」


同じ部落の顔見知り、松次郎さんとお鶴さんが

久しぶりに合って道端での立ち話です。


 ともあれ、長寿の国の筆頭になったこのごろでは、

矍鑠とした老人が多いのです。

濃紺の背広を羽織り、赤地のネクタイでビシィと決めています。

よそ行きのときの出で立ちです。


かつては、人生五十年と言われました。

大昔はもっと短命であっただろうと思われます。

「うたかたの人生」

「夢、幼の如き一期」

と言った人生の儚さを形容する言葉を思い出します。

厄払いをすればもう初老の仲間入り、

平均寿命を通り越した還暦・古希まで辿り着く者は少なかったのです。

今は、「オヤジサンノ年ャ モ− ハ−ヨ 通り過ギタ」

と言う働き盛りの人が多いのです。

     

   

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