暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

弘法さん参り


「子供ン時ャ オ接待ガ 楽シミデノヤ」

「ソータノ。オ饌米バヒトツマミ パラパラ撒エテ小盆デサイ出サス

五、六枚ノセンペカ フキョセンゴタットバノヤ・・・」

「煎餅ン 五、六枚モ貰うと 二、三枚ハ

ミチミチ食ウテ 残リャ 持ッテ帰リョッタモン」。

そう、茶菓子(おせって)はたいてい

りんかけ(菓子の外面に砂糖をふって乾かすこと)の

煎餅か紫色の紫蘇菓子で気のきいた所では

黒棒(黒い棒状の焼き菓子)の一本もきばる所もありました。


家に帰って溜めてきたおせってをあけてみると、いっぱいあります。

弟や妹にも少しずつ分けてやります。

残りは明日のはざぎい(間食)に戸棚の奥に大事に仕舞っておきます。

何日かのお楽しみができるのです。


「ホンナコテノヤー。オ接待ノ欲ッセ 日ノイッチンチ

歩キ回リョッタモンバアータ。シンブナコッタイ」

「ソータノ。バッテ ソゲンシトルケ 足デン

強ーシトットジャロケン・・・。オカゲデ 足ダケハ強カ 今デン・・・。」

なるほど、足か強いのは「弘法さん参り」の功徳かも知れませんきっと。

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