暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

雛祭り


季節にちなんで桃の節句と呼ばれるように、桃が満開です。

客のお膳の上に据えた菱餅の間や燗徳利の口に、桃の小枝を添えます。

ふつの菱餅・あさじげ(あさり貝)の吸い物・わけぎのなますが付きものでした。

−宴には早春の香りがぷんぷんしたものです。


「今ハ 何処呼バレタッチャ オ御馳走ハ 鉢盛リト握リ鮨バイ」

「白酒ン代ワリニャビールデエークラウト カラオケデ 賑ケーテ・・・」。


早春の雰囲気を盛り上げた座敷で、三段重ねの朱盃で三献、

やおら威儀を正して「なほ喜びの盃の・・・」(春栄)と、

謡からはじまる昔の祝着至極の宴は影をひそめてきたようです。

 

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