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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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「ババーン バーン バーン」と、まだほの暗い空に打ち上げ(打ち上げ花火)が上がります。
ごそっと起き上がり、ねぼけ眼で坪に飛び出します。
はるか中天で弾けた薬玉の薄い煙が残り、
わんがら(打ち上げ花火のとき割れて落ちてくる殻)が舞って落ちてきます。
薬玉が半分に割れたのを椀殻と言います。
風の吹き回しによっては、川向こうで上げた花火のわんがらが近辺に落ちてくることもあります。
えんしゅう(煙硝)の匂がぷんぷんします。
「ワンガラハ 風ノアッタッチャ 何処サンデン 飛バンバッテ
旗テロン 幟ノゴタットハ トツケムネー所サン 飛ウデイタテナヤ・・・」
「ソーソー。川ン向コサン吹キヤラレタリ 柿ノ木テロン
電線ニドン引ッカカッタリシテナイ・・・」
「取ロデツ竿バ持ッテ タダ走ッテ 行キョーッタガ」。
小型の旗や幟が打ち上げられて、
落下傘をつけゆらりゆらりと落ちてくることもあります。
これを拾うと縁起がいいとかで、
子供はもちろん大人まで物干し竿をかたげて空を見上げながら追いかけるのです。
家の入り口の表札の横には厄除けが多いのですが、この旗や幟やわんがらを掲げておけば、
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