暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

お釈迦さん


お釈迦さんにつきものの甘茶や天道花にまつわる言い伝えは数多いのです。

甘茶で髪を洗うと髪が黒くなり、顔を洗うと出来物ができないと言います。

これで墨をすって字を習うと、上手になる呪いにもなると言います。

天道花を羽目板にはさんでおけば火事が起こらない−

これをふすべると方向の占いになる−

人や牛馬が行方不明になつたときには、これをふすべて煙の流れ具合で方向を占う−

水死人があれば死体の所在さえ分かる−

と言う摩訶不思議なものであったのです。

いくら荒唐無稽の言い伝えとはいえ、

信じ得るということは昔の人にとって一つの救いではなかったでしょうか。

すべてに不信感が漲っているこのごろ、

心の拠り所として何か一つぐらいは信じられるというものが欲しいものです。

 

←前項  

八女方言歳時記へ戻る

 

 



ページの上段へ PAGE UP