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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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裸ごんのは穂先を千歯(千把)でこいで、日盛りに臼で搗きます。
ばっちょ笠(竹皮笠)をかぶり、
かんかん日照りの坪先に筵を広げ、
ひねもす裸搗きの苦労が思い出されます。
これを唐箕で繰って仕上げをするのです。
裸ごんのはとくにはしかいものです。
子供たちは「ハシカカケン 来チャデケン」と、日陰に追いやられます。
麦殻の茎の袴を除いて、日陰でもっぱら螢かご編みに熱中します。
麦稈をつなぎながら、手習いで螺旋状の螢かごを丹念に編むのです。
遅い夕食後、螢草(づばなのほうけた穂)や
箒草を竿の先に結いつけて、川の畔を走り回ります。
「ンパ ンパ」と唇を鳴し、
「ホーホー ホータルケー アッチノミーズァー ニーガイゾ
コッチノ ミーズァー アーマイゾー ヒッシャクモッケー タゴモッケー」。
捕ってきた螢には口に水を含んで「ブーッ」と霧吹きをして、
げの暗すみに下げておくのです。
語り続ける古老は、子供になって目を細めます。
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