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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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落とした麦を籾通しでふるい、さらに唐箕で繰って選別をします。
軽くて扇ぎ出された麦殻の屑をぼさと呼びます。
ちなみに、気がきかずにぼんやりしている人を「ぼさ」と言い、
そのようにしている状態を「ぼさーっとしとる」と言います。
一段落すると、そのぼさをだめご(紐をつけて担うようにした竹製の大きな容れもの)
に詰めて田ん中に運ぶのです。そして風が凪いだ夕るし方、
あちこちに積み上げたぼさに火を付けます。
やれやれ、「ヨーヨ シマエタ」。
「戦すんで日が暮れて・・・」
(「戦友」)の感慨にひたりながら、しばしぼさの火を見つめるのです。
晩春の夕方、田毎に立ちのぼる薄いぼさ焼きの煙は、
麦ごんのあがりの農村の風物詩でもありました。
まだ辺りはほの明るいが、東の山の端には淡い月がかかっています。
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