暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

苗代・誘蛾灯


「ホラホラ。ソケ飛ウデキタ。ソリャ俺ガッゼ・・・」

「ンーニャ俺ガ採ッタ」と、

すぐいさかいになったものです。

蛾が飛び立つと、それをばこうて(奪い合って)苗代に思わず足を踏み込みます。

足の踏み場が狭いから蛾一匹捕まえるにも不自由なのです。

「コラ!!ノーシロニ 踏ミコーデ」と、先生の叱声が飛びます。


採った蛾や卵の数を最後に集計して、

御褒美やひゆぎん(日雇金)に書き方半紙をもらうので、

みんな目を血走らせたものです。


「ホンナコテ 田ノ虫採ンノ話チュート 初手ンコツバ オメダスナヤ」。

そう、苗代誘蛾灯−田の虫採り−蛙の合唱−飛び交う螢など、

あれこれ思い出すのです。

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