暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

さなぼり2


お宮の太鼓をひねもす打ち鳴らし、

馳走持ち寄りで宮ごもりをします。

夜は米の二合半に銭の三銭ずつもぬきおう(徴収しあって)て、

友だち寄りやひかりをして楽しみます。

農家はそれこそ朝は朝星夜は夜星と言った重労働でしたから、

老いも若きも日ごろの元をこのよけで取りもどそうと、

飲めや遊べの大遊楽が繰り広げられます。


 お宮の境内に、地方巡業の村芝居の舞台が掛かることがあります。

木戸銭(入場料)無用の遊楽に祭文が催されることもあります。

役者が勢揃いをして太鼓をたたきながら、

近隣の部落まで外題を述べ立てて布令て回ります。

見物の場所取りに茣蓙を持って走るのです。

十人弁当の準備をするなど、村を挙げての楽しみであったのです。


さなぼりの御馳走には必ず鮨を作ります。

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