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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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「ソリャソリャ 忙シカ事ジャッタ。
十四日ン晩ダン 泊り客ノ多シテ 一三人モ寝タバノ。
上モ下モ オッセコッセタイ」
(身動きもできぬさま)
「孫ジョモミンナ 来トラシャッタゴタルガ・・・」
「ソ−タイ。子供モ メンメンニ 二人ズツ 孫バ連レテ来トリマスモンバ・・・」。
盆と正月には子供や孫がわっと押し寄せます。
「ギ−ギ− ギャ−ギャ−」で、まるで戦場のようです。
婆さんは久しぶりに見る子や孫の元気な姿に頬はゆるみっ放しです。
十五日の夕刻、精霊さんを送ると潮が引くように、
手にあまるほどの故郷の土産を提げ、
車に積んで散って行きます。
後はまた大風が除れたような静かさにもどるのです。
老人は頑なに昔の仕来りに固執します。
精霊さんがござる十三日から送る十五日までの三日間は、
朝昼晩新しい御仏供さんを供げるのです。
御仏飯はもちろん、豆腐に葛を入れたおつけ、
麸の入った素麺、だご(団子)・なますなど、
お供え物を下げてみると残って始末に負えません。
「ソゲン タンビンニ炊エタッチャ 食ベバシスルゴッデ 息子ハ言イマスバッテンノヤ−」
「ソ−タノ。盆ニダケダン インガットシテ(念を入れて)供ゲニャ・・・」
「初手ハ 仏様バカッデナシ 餓鬼ドンニマデ 小皿ニ載セテ 供ヨ−ッタバノ−。」
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