暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

八朔さん2


古老はうんざりしながらも、話が現実的になると、

時折適当に相槌を打ち、継ぎ穂を探して合いの手を入れるのです。


「昔デン ソゲナコツノ アリョ−ッタタイノ−?」

「ソ−ッサイ。昔ノ方ガ 弾ミョ−ッタッタサイ。アノ 忠臣蔵デン 同ジ事ジャロモン」

「ソ−タイナイ。吉良上野介ニ 贈リ物ノ 足ラジャッタケン 浅野内匠頭ャ 惨メオ−タッジャンケナヤ。」


八朔の行事の今一つに「初八朔の祝い」があります。

はじめての八朔を迎える男女児の祝いです。

男笹に七夕のときのようにいろいろの物を吊り下げて飾ります。

男児であれば短冊・千代紙で折った兜・奴さんや干菓子などを、

女児であればひいなさんや折り鶴それにマッチ箱で作った箪笥など、

工夫をこらして数多く下げるのです。

近辺からはお祝いを贈り、お返しにおこわい(おこわ)などを配って回ります。


「コッチジャ 七夕ニヤスルバッテ 八朔ニャ アンマリ見カケンナヤ」

「ウ−ン。アンマリ弾マンナイ。タマニャ 仕舞エッカラ坪先ニ 笹バ立テトラス所ン アルバッテ」。

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