暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

八朔さん3


「初メハ 夜店ハミンナ カ−バイトバカッジャッタガ

後ニャ 催合テ 裸電球バ 点クルゴツ ナッタナヤ」

「ソリャ グ−スト後ン事ジャロガ・・・」。

電球は便利ですが、よどにはやはりカ−バイトの灯のほうが雰囲気が出るようです。


朝暗いうちから打ち上げが弾けます。

八朔さんのよどの幕開けです。

都合よく夏休みの終わりにでもあればしめたもの、

心浮き浮きで足が地につかないのです。

何回も小遣い銭をせびって店のぞきに出かけます。

お賽銭を勘定(節約)してもっぱら店回りをします。

もらったわずか五銭、十銭の小遣い銭では、たいした物は買えません。

竹管に丸めたじゅる飴(水あめ)をなめ、

色付けのにっけしゅ(肉桂酒)をすすりながら、

品定めをして回るのです。

親にせびって買ってもらいたい品物を考えるのですが−

二等卒から大将まで駒が揃っている兵隊将棋がよかろうか、

パチパチ連続して紙玉が弾ける短銃にしようか−

あまり欲しい物が多くて工面がつかないのです。

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