暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

なごれ十三日


非農家の婆さんたちまで呼び集めて、

月見と四方山話が弾むのです。

もっぱら農作業や孫守りの話などが長々と続きます。


「孫トドン遊デ ヨカローゴタルバッテ 虫ノ出テ メラーメラー泣エタリ

グゼッタリシテ ドマグルッ時ャ ヤオナカバノ 孫ン守リモ・・・」

「ソレチットン目バ離サレンシノヤ」。


決まって終幕には、「がた」がきた躰に

よく効く鍼やえーと・あんまなどの治療の話で結びとなるのです。


頃合いを見て御馳走開きになります。

ほどよく効いた塩気でとても豆が旨いのです。

カチカチ動く総入れ歯でも充分かめます。

待ち兼ねていた孫たちの手は素早いものです。

みるみるどんぶり一杯に殻が溜まります。


 「畦豆チャ 小味ノアルモンノヤー」

「ソータノ。食イダスト 止メミチャワカラン。ドガシコデン イクル」

「ソリバッテ 豆ハソーニ腹ニ溜マローガノー。ヨンドコンノ 食ベ過ギッタイ」

「ソータイ。年寄ノ夜中ニコゲン食ブット 良オナカロー。ココンニキデ 止メトカジャコテ・・・」。

たらふく食べて婆さんたちも手を引っ込めます。

 

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