暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

なごれ十三日


ふと気がついて、


「ホラホラ オ月サンノ モーアゲントケ 上ットラッシャル」。

なるほど、東のほうの電柱の上に懸かっていた月が、

いつの間にかまん前の電柱の上に移っているのです。


「ソッジャ イッチョ ココンニキデ オ暇シマッシューカノ ドナタン。ホンニ ヨドリマシタノヤー」

「トホムネー オ世話ニナリヤシタ。ソッジャ・・・」。


この日の満月を通常「豆明月」と呼びますが、

栗明月・菱明月と言う所もあるようです。

栗の産地の山村では「栗明月」、

菱が名産のクリーク地帯では「菱名月」と名を変えるのです。


すっかり冷え切った坪先から、かすかな下駄の音が遠ざかっていきます。

 

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