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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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いよいよ最後の段取りの籾摺りにこぎつけます。
専業農家ならともかく、兼業農家はたいてい籾摺りは夜なべにします。
小屋の中に莚を広げて、やや奥に直径二尺五寸くらいの二段重ねの木臼を据えます。
かみ合う面にギザギザがついて上臼に穴があり、
ここにひめ(穀物の乾燥度)の効いた籾を少しずつ入れるのです。
碾き把は二人で握れる横棒をつけ、ゆっくり回します。
急いてはいけない、呼吸を合わせて「ソラ引ケ」ゴロン、「ソラ押セ」ゴロン。
「ゴーンゴーン ピッーピー 昨夜ーカーラ 摺ーリョルバッテー
マーダ一俵 摺ッダーサン。隣ノ婆ーサンナ モー一俵 摺ーラシター」。
懐かしい昔の「籾摺唄」を思い出します。
ですが、口に入れるまでにはまだまだ程遠いのです。
摺った玄米は再び繰って、青米や屑米を選別します。
青米・くだけ・屑米は味噌麹に使います。
精選された玄米は、近所の水車小屋で
コットン、コットンすりはいで(精米して)やっと新米になるのです。
ほんと、御飯一粒でも、気が遠くなるような手が入ったものです。
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