暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

御願成就


氏神の行事は年間に相当多いのです。

祭典のたびに幟の立て倒し、

供物の準備、毎月広い境内の清掃や花の差し替え、

それに部落特有の正月の潮井取りやほんげんぎょう立てなど、

数えあげたら切りがないほどです。


「ソリバッテサイ 今ン年寄リノ オランゴツナッタナ 注連縄バ ナイキルモンナ ノーナロナイ」

「ソードコジャナカ。注連縄デン オソエンナ テンデ アッチャコシ ナヨルモン・・・」。


何はともあれ、祭典が無事終了し、

拝殿に車座になっての直会は和楽の一刻です。

持ち寄った中入りを肴に一献酌み交わし、

さんきら饅頭(祭典などの時につくる、

さんきらいの葉でくるんだ饅頭)・

お強飯をつまむ一刻は心和むものがあります。

垣根を高くし、自己の城を守るのに汲々としている今日、

打算を撥無したこの氏子集団の和楽は、

話し合いの広場、心のつながりになっていることは確かでしょう。

こうして、次の十二月中旬の座の日がだんだん近づいてきます。

 

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