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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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季節は飛びますが、旧暦十二月(師走)の朔日に「川渡り」の行事があります。
新暦では年の瀬になり、凍てつく日もあれば朔風(北風)がうなる日もあります。
霜が酷い朝などなかなか火鉢の側から離れ難いものです。
兵児一巻の出で立ちで、早朝腰まで水につかって川を渡るのです。
家に帰ると朝風呂に入り、身づくろいをします。
そして用意された餡子入りの餅や饅頭を神仏に供えて無病息災・水難除けの祈念をするのです。
これはまた緊褌一番年の瀬を乗り切る決意を表明する行事だとも言います。
「○○サン方ン オッチャンノ 毎年 ショーラシャッタノヤ」
「ソーソー。水垢デ スビキョール水ニ スベクッテ 渡リョーラシャッタタイ」
「上ガッテ コラッシャット ホンナコテ ツバ色失ウテ 鳥肌立ッテノヤ。タマガッテ 見ョーッタタノー」。
川渡り−水を向けねば、今では老人さえ思い出せない行事になってしまっているのです。
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