暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

麦播きのころ1


かつての農家は、兼業ならともかく、専業農家は家毎に牛か馬を飼っていました。

この家畜は農繁期の主役なのですが、日ごろは無為徒食です。

ですが、食べては垂れて、まやん肥(うまやごえ)と

言う一番大切な自給有機肥料をつくる役目をしているわけです。

牛馬小屋に敷き藁を入れ、これが糞尿にまみれて充分に踏み込まれると、

二本鍬(爪が二本ついている鍬)でかき出します。

霜の朝などこづみ(積み)上げたまやん肥からほけ(湯気)が立っています。

このまやん肥と前述の堀から上げた泥を交互に積み重ねて、土肥を作るのです。

土塀小屋の中に積み上げて、時たま切り返すと発酵して完熟します。

これが何よりの麦播きのときの覆土になるのです。


こうして、手間のかかる麦播きの準備が少しずつ進んでいきます。

 

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