暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

麦播きのころ2


「株切ンナイ?ソリャー 中カガミセンダケ 稲刈リヨリャ ヨカロバッテ

広カ田ン中バヒノイッチンチ 株切リシテンナイ。退屈スルバイ」。


小春日和のぽかぽかした天気ならまずいいのです。

時として朔風(北風)が吹きすさび、氷雨がばらつくときもあります。

藁こづみの陰に茣蓙を広げます。ふうづつみを取って渋茶でのどを潤すのです。

汗がひいてぞくぞくします。お茶請けもそこそこ、小さくなって肩を寄せ合ったものです。


「止ムット カエッテ寒ブナル。早ヨシマワケーテ 帰ロカネ」と、

かねがねは一番辛抱する親爺さんが珍しく早仕舞の口を切ります。やれやれ・・・。

 

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