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暮らしと方言の色揚げ内山一兄・郷田敏男 |
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播いた麦に、こいじょうけ(長円形の浅いざる)に土肥を掬って薄くまいて回るのです。
最後に畝の真ん中から播いた双方の麦種の上に浅い覆土をします。
畝からみです。鍬をくるっと回転させるようにして、パッと薄くかけるのです。
種麦の二倍の厚さの覆土と言いますから、なかなか要領が要ったのです。
年の暮れとなると、麦の芽が一寸近く伸びます。
朔風のうなる年の瀬に、麦踏みとこやし撒きが繰り返されます。
「ナイナイ。肥壺ン湧キョーリマスモンバ ソリバ麦ニ ブリ撒エテ 正月前ニ
湯殿(大便所)ン肥バ 肥壺サン移ショーリマシタタノ」。
金肥のすて(菜種油をしぼったかす)などは高いのでたいてい糞尿や灰などの自給肥料が主でありました。
完熟しただら(人糞)小便をうすめて、肥たご(肥おけ)を担いながら巧みにかけて回ったものです。
いやはや不潔なことでした。
「今カラ考ユット ホンナコテ 夢ンゴタッデスバノー。ホンニ ホンニ」。
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