暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

とーきんだご


空になった苞は、屋根の上にほうり上げておくのです。

こうすれば、火事の災厄から逃れると言います。

また、もらっただごは坪先や往還などで食べるもので、

家の中で食べるとその家が火災に会うと言って、

もらっただごを持て余す子もありました。


つまり、これは火事の災厄除けの行事でしたから、

火の神を鎮め、あるいは水神の加護を祈る祭事でしたでしょう。

してみるとその期日は、中国の五行の干支に依って、

丙と丁か壬と癸の日が発足の日とも考えられます。

この行事も絶えてからすでに久しいのです。


ちなみに、火災除けの行事はまだ二、三残っています。

あまり古い時代からの行事ではないらしいのですが、

柳島地区の裸ん行をして潮井をとる「水のぶさん」の行事や、

黒土地区の「ゴロゴロさんよど」(落雷による火災除け)などが、これです。

 

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