暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

山明け・山あがり


「日曜テロン 冬休ミン焚物取リチャ オモシロカッタナヤー」

「ソーソー。イッソツンノーテ ボクトニ 縄ドンイーツケテ 登リョッタタイ」

「ベーラバ(雑木の小枝を束ねた薪)コーモ一架拾ウト アトハ 小半日 山遊ビジャッタタイ」

「鉈・鎌クサ 持タレンバッテ

肥後守(折り込み式の安価なナイフ)バ持ットルケン コッデ イロイロ作ッテナイ」

「ソレニ アケビ チャンカン豆ドン採ッテ 食ウテナヤ・・・」。

そう、枯れ小枝を集めたものを「ベーラ」と言いました。


くどの焚物には三種あります。

松葉を掻き集め、杉の葉を拾います。

これを太鼓型に丸かし(丸く束ねる)て担ぎ出します。

焚き付け用に重宝です。平坦部の農家では麦殻をこれに充てます。

雑木・松の木を伐採して一メートルくらいに切り揃え、

太い幹は中斧で割って割り木にします。

この生木をこずみ上げて乾燥させるのです。

割り木は自家用よりも売りに出されるものが多かったようです。

松割り木は消し炭には不向きですが、火勢が強いので大釜用に適しました。

枯れた小枝を束ねたのがベーラで、これは万能の焚物でした。

山あけ中の子供や婦女の焚物とりは素手ですから、

落葉かきかこのベーラ集めに限られていました。

そして山あけ中に懸命に集めたベーラや

落葉の丸かしがどこの家のねきだれ(軒先)にもよく見られたものです。

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