暮らしと方言の色揚げ

内山一兄・郷田敏男

 
 
 
 
 
 
 

八朔さん1


「ココンニキジャ 盆ニダン 遺ットリスルバッテ 八朔サンチュ−テ ショ−ラジャッタナヤ」

「ソゲンタイ。八朔サンノヨドニ 呼バレテ行ク時ゃ 手土産ダン 持ッテ行クバッテナイ・・・」。


運命共同体の農村では、豊穣と自然の災害を免れる祈願が本命です。

が、そこには連帯を強めるために、物品の贈答をして協力の証とする仕来りが生まれたのです。

元を質せば、子の農民の間の贈答が逆に宮廷・幕府などに移行していったものであろうとも言われています。


「物ン遺ッ取リクサ センバッテ ヤッパ 豊年満作ノ 祈願ジャロダイナヤ」

「ソレニ チョ−ド 大風ン来ルゴロデ ソン大風逃レン祭リモ 兼ネトットジャロ」

「ソ−ナイ」。


講釈が長たらしいので、松つぁんと鶴さんはときどき話を混ぜ返します。

二人の顔には子供のころの八朔さんの楽しい思い出話に、

話題を変えようとする様子がありありと見えるのです。

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